説明調のタイトルだがピッタリの言葉が浮かばないのでお許しを。
関西将棋会館HP「今月の詰将棋」の5月出題作(内藤國雄九段)はちょっぴり感心した。

のちに14歩と打つ手が打歩詰にならないよう36桂を消去して24へ脱出できるようにするという仕掛け。
類似例はありそうに思え検索してみたが、私のデータベースにはなかった。
上の作は脱出路を塞いでいる桂を消去するというパターン。
そもそも、このパターンの作が少ない。
代表例はパラ1981年5月号小林譲(四百人一局集収録、17手詰)

ほかに京都民報2006年11月12日楠原崇司(15手詰)

そしてパラ2007年5月号高橋和男(25手詰)

この3作しか見つからなかった。
一般的なのは、桂の利きがある地点に歩を打つことになるので予め桂を消去するパターンだろう。
パラ1967年2月号松井秀雄(15手詰)

初手に打った27桂が残っていると後の15歩が打歩詰になるので、桂を消去し15歩が取れるようにする。
湯村光造さんの「歩詰手筋総まくり」には、桂の二段跳びで詰方の囲い駒を減らす作は本作が最初、
その後応用作はかなりあると書かれている。
実際10作程見つかった。
初出と作者名を載せておく。
近代将棋1969年8月号北川邦男(渓流珠玉編83番)
将棋ジャーナル1978年4月号稲村守雄
近代将棋1978年7月号植田尚宏
将棋マガジン1989年8月号編集部
近代将棋1990年10月号原島利郎
将棋世界1991年3月号付録上田吉一珠玉短編39題14番
将棋世界1991年10月号上田吉一(極光21・2番)
近代将棋1994年4月号平松準一
近代将棋1994年7月号岡田敏
京都民報2004年10月31日楠原崇司
さて、松井作よりも前に発表されている次の作はどうか。
パラ1965年7月号柏川悦夫(「詰」89番、 21手詰)

桂を消去しないと次の局面に陥る。

15歩は打歩詰だが、その元凶は25飛ではなく37桂なのである。
広義では脱出路を塞いでいる桂を消去するというパターンなのだろうが、
何となく相馬さんのグループ不利合駒を連想をしてしまった。
25飛を取っても逃げても同手数なので「盤上流転」には収められなかったのかもしれないが、
忘れてはいけない作だろう。
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