引き続き北川邦男ネタ。
「渓流」には未発表作が16作収録されているが、その中の一作。
「渓流」第三部遺作編E(1967年2月13日作。17手詰)

質駒狙いの角打ちに角の中合で応じる。
以下取った角を22に打っての収束は自然な流れだが、少々あっさりかもしれない。
お蔵入りとなったのはそのあたりが理由だろう。
大正時代の作に次の作がある。
将棋月報1926年11月号大江歩進(25手詰)

こちらは92に角を打つ収束。角が捌けない。
これらの作と次の作はわずかな違いなのだが。
パラ2007年9月号廣瀬崇幹(33手詰)

角を取っても収束に向かわず2枚角のコンビネーションで香を奪う。
これには天国の北川さんも脱帽だろう。
と、これでお仕舞にするつもりだったが角打角合の趣向作があるようなのでピックアップ。
近代将棋1960年9月号田中輝和「角兵衛獅子」(=田中鵬看、81手詰)

斜めに並んだ香を動かす。
近代将棋1986年3月号墨江酔人(=七條兼三、将棋墨酔80番、87手詰)

こちらは桂を動かす。
両作とも動かした駒が残ってしまうのが不満。
しかし、その駒を連取りで消去していく作があった。
パラ2004年12月号井上徹也(105手詰)

これは見事。鵬看、七條がなしえなかったことを易々とやってのける。
だだ、この2枚角のコンビネーションによる連取りは記憶がある。
パラ1971年4月号上田吉一「保津川下り」(改良図、極光21・17番、93手詰)

原点は上田吉一だったというオチ。