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二上詰将棋200題

初版は1967年1月発行らしい。私が購入するのは、それから3年余りのち。
初めて買った詰将棋の本だった。

1作だけ選ぶとすると何と言ってもこの作。(11手詰第37問)
1150futagami0手
今の目で見ても感心する。古今短編名作選収録。

もう1作選ぶとなるとこの作。(11手詰第27問)
二上200_11-270手
やや単純かもしれないが11手にキッチリとしたストーリー。

上の作とたぶん同じ発想かと思える作。(11手詰第35問)
二上200_11-350手
18香にするのは駄目なのかと思う貴方は鋭い。

将棋世界1977年1月号北原義治(11手詰)
4394kitahara0手
当時の将棋サロンの選者は二上九段のような気がするのだが、ご存知の方は教えてください。
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不利応接

と、タイトルを付けたが不利合駒も不利逃避も不利応接には違いないか。
今回の取り上げるのは湯村光造さんの用語に従うと「不利質駒」。

湯村さんが詰棋めいとに連載した「歩詰手筋総まくり」で不利質駒の一号局とされる作。
パラ1987年11月号山本民雄(27手詰)
1426yamamoto0手
山本民雄最後の発表作である。
作意は「詰将棋かも...」で見ることができる。
攻方は飛車と歩の不利交換を狙うが、玉方は歩の代わりに銀を差し出す。
それを合駒でなく置駒で行うのが今までにない発想。
発表時の評価はどうだったのか知りたい。(多分高くないと予想)

価値が高い方の置駒を差し出すということであれば、これ以前に作例はある。
京都民報1986年8月若島正(改良図、華麗な詰将棋(1993年6月発行)Ⅲ-45、19手詰)
華麗3-450手
発表原図は「詰将棋かも...」で見ることができる。(何と素晴らしいサイトだろう)
但し本作は打歩詰とは関係がない。

それでは大道棋研究室に発表された次作はどうか。
パラ1984年10月号御回三八(23手詰)
4286gokai0手
           (杏=成香)
私の眼には不利質駒に見えるのだが…。
これも発表時の評価が知りたい。
そもそも「御回三八」とは何者?

渓流・遺作編から

引き続き北川邦男ネタ。

「渓流」には未発表作が16作収録されているが、その中の一作。
「渓流」第三部遺作編E(1967年2月13日作。17手詰)
渓流遺作E0手
質駒狙いの角打ちに角の中合で応じる。
以下取った角を22に打っての収束は自然な流れだが、少々あっさりかもしれない。
お蔵入りとなったのはそのあたりが理由だろう。

大正時代の作に次の作がある。
将棋月報1926年11月号大江歩進(25手詰)
0225ooe0手
こちらは92に角を打つ収束。角が捌けない。

これらの作と次の作はわずかな違いなのだが。
パラ2007年9月号廣瀬崇幹(33手詰)
2055hirose0手
角を取っても収束に向かわず2枚角のコンビネーションで香を奪う。
これには天国の北川さんも脱帽だろう。

と、これでお仕舞にするつもりだったが角打角合の趣向作があるようなのでピックアップ。
近代将棋1960年9月号田中輝和「角兵衛獅子」(=田中鵬看、81手詰)
2144tanaka0手
斜めに並んだ香を動かす。

近代将棋1986年3月号墨江酔人(=七條兼三、将棋墨酔80番、87手詰)
0072bokkou0手
こちらは桂を動かす。

両作とも動かした駒が残ってしまうのが不満。
しかし、その駒を連取りで消去していく作があった。
パラ2004年12月号井上徹也(105手詰)
4710inoue0手
これは見事。鵬看、七條がなしえなかったことを易々とやってのける。

だだ、この2枚角のコンビネーションによる連取りは記憶がある。
パラ1971年4月号上田吉一「保津川下り」(改良図、極光21・17番、93手詰)
極光21170手

原点は上田吉一だったというオチ。

将棋世界2014年5月号

◆詰将棋サロン、濱田誠巳
個人的には非常に気に入った作。
201405将世30手
次の作があるものの抜群の完成度だろう。

パラ1999年7月号岡田敏(11手詰)
3803okada0手
持駒香歩なので打順前後がある。なぜ歩歩でないのか。


◆詰将棋サロン、武島宏明
打診合の拒否。
201405将世40手

原理図としては次の作。
パラ1981年5月号湯村光造(7手詰)
0375yunomura0手
この手筋の1号局とされるのは北原義治作だが、三百人一局集で北川邦男さんは北原さんからの私信を紹介している。
それによると湯村さんが原形を示して北原さんに創作を勧めたとある。
当時のパラはもう持っていないが、同じページに北原、北川両作が載っているようなので、おそらく湯村さんがネタばらしをした記事の掲載作と推測。
なお、三百人一局集の発行は1981年2月、北川さんの逝去は同年4月26日である。

北原作はこちら。
近代将棋1959年6月号北原義治(21手詰、独楽のうた33番)
1854kitahara0手

そして、この手筋を飛車で行った三百人一局集の北川作。
近代将棋1968年8月号北川邦男(15手詰、修正図、「渓流」珠玉編73番)
4216kitagawa0手

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詰将棋パラダイス2014年4月号(その2)

今回と次回は北川邦男ネタ。

◆詰四会作品展、来嶋直也
序奏がしっくりこないのだが。
201404詰四30手

このタイプのソッポ金の元祖と言われるのは、
将棋世界1953年6月号小西稔(11手詰)
0786konishi0手

7年後、北川邦男は似た手順の作を発表し小西作との類似を指摘される。
パラ1960年7月号北川邦男(11手詰、「渓流」拾遺編22番)
4831kitagawa0手

この1年前、作者は次の作で塚田賞を受賞している。
近代将棋1959年7月号北川邦男(15手詰、「渓流」珠玉編5番)
1865kitagawa0手

来嶋作と同様に飛車取りのソッポ。次作も同じ。
枻将棋讃歌1982年9月号柴田昭彦(15手詰、短編コンクール1位、金波銀波集106番)
0188shibata0手

蛇足。次の北川作は2手目の変化にこの筋が出てくる。
将棋世界1961年10月号北川邦男(13手詰、「渓流」珠玉編40番)
2278kitagawa0手

詰将棋パラダイス2014年4月号(その1)

◆ヤング・デ・詰将棋、角寿雄
考えにくい事この上ない。
201404ヤン20手

3手目からは将棋マガジン1978年4月号松山政衛(7手詰)がある。
0060matsuyama0手

初手からの組立ては将棋研究1946年2月号星野喜一郎(7手詰)と同じだが、
星野作は初手左右からの角打の余詰に加え変化2手長なので存在を主張出来ないか。
0016hoshino0手
この作を見ると入選級か否かはさて置き、角作は非常に上手く作られていることが良く分かる。


◆小学校、武島宏明
整理された配置だが、
201404小200手

残念ながらパラ1976年11月号橋本樹(7手詰)と同手順。
0959hashimoto0手


◆中学校、藤井憲郎
3手目以降は以下のとおり前例あるが、初手のセンスには感心する。
201404中170手

将棋世界2008年8月号中田章道(5手詰)
0266nakada0手

パラ2009年4月号芹田修(7手詰)
3910serita0手

パラ2009年6月号岡田敏(15手詰)
4099okada0手

◆短期大学、鈴川優希
繰り替えとはこういうことか!
201404短190手

後半はパラ1999年3月号海老原辰夫(17手詰)に合流。
3477ebihara0手


◆デパート、山路大輔
4月号で最もインパクトのある作。受賞級だろう。
201404デパ40手

後半部分は次の2作がある。
パラ2007年5月号山田修司(33手詰)
1705yamada0手

ツイッタ―2012年8月12日相馬慎一(25手詰)
20120812相馬0手
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