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「新まりも集」15番及び30番その他

2016/02/22(月) 21:00:00 発掘 THEME:将棋 (ジャンル : ゲーム EDIT
2年以上前の記事「柏川悦夫のペンネーム」の中で、「新まりも集」15番及び30番の初出等について分かる方は教えてくださいと書いた。

その後、佐原さんから
①15番の初出は王将1954年8月号で原図は77桂→97桂
②30番は懸賞問題ではなく練習問題のためT-Baseに収録されていない。
コメントをいただいた。
ただ、①については97桂で検索してもヒットしなかった。

そんなことをすっかり忘れていたところ、「詰将棋の欠片」のhiroさんから情報提供があった。
①15番の初出は新まりも集記載どおり近代将棋1953年1月号だが、付録の「詰将棋短篇傑作集」に収録。発表図は97桂。王将1954年8月号には、村木徳氏の「もう少し寛大に-合駒について-」という文章の中で図が紹介されている。
②30番は詰將棋練習問題集というコーナーに掲載されているが、発表図には玉方33歩があり作意が異なる。
というものだった。


新まりも集15番(改良図、近代将棋1953年1月号付録、11手詰)
新まりも150手

10手目飛金合をされると変化2手長手数駒余り。村木さんの文章はこのあたりのことを言っているのか。

hiroさんは近代将棋付録の詰将棋短篇傑作集を探しており、最近ようやく実物を見ることができたという記事を見たが、ここにリンクしてくるとは。

ちなみに、詰将棋短篇傑作集は元近代将棋編集長の森さんや近代将棋社で倉庫整理のアルバイトをしたことがあるという某詰将棋ライターも見たことがないと言っていた相当なレア物である。

15番については以上、のつもりだった。
が、更新されたばかりの「借り猫かも」を見ていたら97桂の図が掲載されており、しかも初出が「近代将棋附録1953/01」とサラリと補足されていた。借り猫さん恐るべし。


新まりも集30番(改良図、将棋評論1952年12月号、13手詰)
新まりも300手

玉方33歩があると4手目22玉が作意となり最後32金、23玉、22馬までだが、21金と桂を取る手があり厳密には余詰。
上図では22玉が変化となるが最後桂を取って同手数駒余りとなる。


調査していただいたhiroさんには感謝感謝の一手だが、2年以上前の記事をしっかり覚えていたとは、これまた恐るべし。

なお、新まりも集については「将棋雑記」に全局紹介されている。
どうやらこのサイトの管理人が詰将棋短篇傑作集を所有していたらしい。またまた恐るべし。

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以下は新まりも集とは関係のない話。
hiroさんから将棋評論1952年12月号詰將棋練習問題集のコピーをいただいた。
問題集といっても1ページのみで6作しかないが、そのうちの1作。

将棋評論1952年12月号藤井国夫(13手詰)
fujii0手

今の目で見ると既視感のある手順だが、当時ならばかなりの好作、懸賞出題されてしかるべき作。
なぜ練習問題なのか。調べてみると次の作があった。

パラ1952年2月号斉藤孟(11手詰)
saitou0手

この作の改良図として練習問題へ投稿したのか、あるいは類似に気付いた編集者が練習問題へ回したのか。
いずれにせよ、藤井作がT-Baseに収録されていないのは不幸なことだ。

なお、斉藤作の75角は飾り駒のようで後年角を除いた図を別人が発表している。

続・玉方桂四段跳ね

2015/11/04(水) 00:01:23 発掘 THEME:将棋 (ジャンル : ゲーム EDIT
双方桂四段跳ね調査のため調べ直したので、新しいリストを掲載します。
なお、七段目の桂跳ねが不成に限定されていない作は*を付しました。

①*八代大橋宗桂 将棋大綱第7番(明和2年≒1765)33手詰
 手順前後あり

②*塩野入清一 パラ1974年4月号 39手詰
 趣向手順 収束キズあり

③北原義治 近代将棋1978年4月号 29手詰
 あぶり出し(左隅3*3の密集形)

④七條兼三 パラ1980年3月号(将棋墨酔No.66)53手詰
 双方桂四段跳ね 着手非限定のキズあり

⑤七條兼三 パラ1980年4月号 65手詰
 余詰

⑥*岡本正貴 竹馬No.70(原図パラ1980年12月号)11手詰
 変長

⑦二上達也 将棋世界1982年3月号(二上詰将棋金剛篇No.54)17手詰

⑧堀内真 パラ1990年2月号 45手詰

⑨車田康明 詰棋めいと第11号(1990年11月)13手詰

⑩柴田三津雄 近代将棋1991年8月号 35手詰
 銀歩送り応用
 
⑪岸原秀行 パラ1994年7月号 63手詰
 一段目の桂が合駒で出現。詰将棋おもちゃ箱「記録に挑戦!」に掲載

⑫小林正美 近代将棋1995年1月号 23手詰

⑬長壁敏雄 パラ1995年4月号 23手詰
  半期賞

⑭山田剛 パラ1995年8月号 11手詰
 最短手数。詰将棋おもちゃ箱「記録に挑戦!」に掲載

⑮三角淳 パラ2002年6月号 15手詰

⑯森雅章 詰将棋集(2008年4月)一般図式No.45 17手詰

⑰菅野哲郎 パラ2011年4月号 13手詰

⑱*伊藤和雄 パラ2011年11月号 11手詰

⑲菅野哲郎 詰将棋パラダイス2015年10月号 
 双方桂四段跳ね 趣向手順

なお、攻方桂四段跳ねは40作ぐらいありそうなので割愛。

函館毎日新聞第一回詰将棋

既に指摘されているとは思うが、今月2回も目にしたので書いておきます。

Yさんからパラ2007年8月号「持駒のある風景」で紹介されている関根金次郎作(明治42年1月10日函館毎日新聞)が、海老原作と同一との連絡。
パラを見てみると確かにそのとおり。しかし、いくらなんでもありえない話。
案の定、翌月号の編集後記で正図は次のとおりと訂正されていた。
(なおT-Baseでは訂正されておらず海老原作が関根金次郎作として収録されている)
1992sekine0手

同じ時期にたまたま見ていた「こまのひらめき」(2004年5月発行)で、やはり北村さんが上図を紹介していた。
(順番としては「こまのひらめき」→「持駒のある風景」ですね)
51桂成、同玉、53飛成で簡単に詰んでしまうが、
正解手順は51桂成、同玉、42銀成、同玉、46香、同角成、33と、51玉、55香、同龍、33と以下25手詰とあり、
5手目46香のところ33と以下29手の余詰があるとされている。
そもそも54歩があるので9手目55香は王手にならないのだが、それには触れていない。

そう54歩が変なのである。
そして54歩のない図は、九代大橋宗桂「将棋舞玉」30番。
1136kudai0手
余詰手順とされた5手目33と以下の29手詰。
5手目46香は51玉で逃れ。24とを消去する意味はここにある。
余詰はなさそうだ。

香のサンドイッチ

一段目の角(馬)の王手で二段目に香合を発生させ三段目に角を打つ作を5作紹介。

パラ1979年11月号池原雅幸(7手詰)
1ikehara0手
これが基本形。
活動期間は1978年~1985年。発表作は30作余りだが鋭い作ばかりの作者だった。

将棋ジャ-ナル1988年2月号中村雅哉(13手詰)
2nakamura0手
コンパクトに実現。
名局ライブラリーで紹介されているので受賞作かな。

パラ2001年6月号中出慶一(15手詰)
3nakaide0手
これはちょっと苦しい。

パラ2013年2月号千葉豊幸(11手詰、半期賞)
4chiba0手
他の作と異なり香合、香移動を空き王手で行う。

パラ2013年6月号金子清志(15手詰、A級順位戦優勝)
5kaneko0手
手放した角を再び入手。遠打ち感も出ている。

桂の二段跳び消去による打歩詰回避・打開

説明調のタイトルだがピッタリの言葉が浮かばないのでお許しを。

関西将棋会館HP「今月の詰将棋」の5月出題作(内藤國雄九段)はちょっぴり感心した。
20140529内藤0手
のちに14歩と打つ手が打歩詰にならないよう36桂を消去して24へ脱出できるようにするという仕掛け。
類似例はありそうに思え検索してみたが、私のデータベースにはなかった。

上の作は脱出路を塞いでいる桂を消去するというパターン。
そもそも、このパターンの作が少ない。

代表例はパラ1981年5月号小林譲(四百人一局集収録、17手詰)
0422kobayashi0手

ほかに京都民報2006年11月12日楠原崇司(15手詰)
Moon Shine386★0手

そしてパラ2007年5月号高橋和男(25手詰)
1688takahashi0手
この3作しか見つからなかった。

一般的なのは、桂の利きがある地点に歩を打つことになるので予め桂を消去するパターンだろう。
パラ1967年2月号松井秀雄(15手詰)
1049matsui0手
初手に打った27桂が残っていると後の15歩が打歩詰になるので、桂を消去し15歩が取れるようにする。
湯村光造さんの「歩詰手筋総まくり」には、桂の二段跳びで詰方の囲い駒を減らす作は本作が最初、
その後応用作はかなりあると書かれている。
実際10作程見つかった。
初出と作者名を載せておく。

近代将棋1969年8月号北川邦男(渓流珠玉編83番)
将棋ジャーナル1978年4月号稲村守雄
近代将棋1978年7月号植田尚宏
将棋マガジン1989年8月号編集部
近代将棋1990年10月号原島利郎
将棋世界1991年3月号付録上田吉一珠玉短編39題14番
将棋世界1991年10月号上田吉一(極光21・2番)
近代将棋1994年4月号平松準一
近代将棋1994年7月号岡田敏
京都民報2004年10月31日楠原崇司

さて、松井作よりも前に発表されている次の作はどうか。
パラ1965年7月号柏川悦夫(「詰」89番、 21手詰)
3686kashikawa0手

桂を消去しないと次の局面に陥る。
3686kashikawa6手
15歩は打歩詰だが、その元凶は25飛ではなく37桂なのである。
広義では脱出路を塞いでいる桂を消去するというパターンなのだろうが、
何となく相馬さんのグループ不利合駒を連想をしてしまった。
25飛を取っても逃げても同手数なので「盤上流転」には収められなかったのかもしれないが、
忘れてはいけない作だろう。 続きを読む